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医業経営

医療法人の出資持分比率の検討―事業承継対策―

医師の老齢化が進む病医院では、その承継が課題となりますが、親族による承継であっても、単純にいかないものです。永年の病医院経営で蓄積された財産は、病医院の土地建物、駐車場などの不動産や、器械器具、そしてマンパワーというハード・ソフト両方の財産が存在します。


医療法人の代表的な形態は「出資持分のある社団」です。「寄付」ではなく、出資した分の「持分」が存在します。ご自身が出資して、永年の経営で運用されたことによって「ふくらんだ正味の資本部分」は、出資持分の価値が上がったという意味になります。一般企業も「自社株の価値の増加」という同様の問題がありますが、とくに医療法人の場合、設立当初の出資持分割合が行政指導により、院長・理事長に偏っている場合があるので、問題が深刻になるときがあります。


医療法人を監督する役所は「都道府県」であり、「医療法」に基づいて監督しています。しかし、医療法に基づいているというものの、都道府県単位で取り扱いが微妙に異なり、例えば医療法人を設立する際の、出資持分割合について行政指導をする場合があります。理事長・院長の保有割合を「過半数以上にするように」という場合です。このような保有割合の場合、理事長・院長が万一のときに生じる「相続税」のことを考えておかねばなりません。


すなわち、出資持分も相続財産に含まれるため、今までの蓄積で上昇した出資持分に対して相続税が課税されるからです。偏った保有割合のままですと、その課税は大きな額になりかねません。
その財産を受け継ぐ相続人が、相続税を払えるようにしておかないと、例えば駐車場を売却して資金を捻出したり、運転資金を使ったりしないといけなくなり、医業経営に支障がでることも考えられます。


その対策としては一般的に、


■法人からの「退職金」を納税資金にあてる。
■上記の退職金の財源として、医療法人でも「生命保険」に予め加入しておく。
■相続人を受取人とする「生命保険」に加入しておく。


出資者の万一のご不幸のときにそなえ、上記の事柄を検討されてはいかがでしょうか。
将来の退職金という大きな経費を、今の平常時に前倒しで経費化できるという節税の効果もあります。
また、大切なこととして、平素から「出資持分の価値」と「理事長・院長の保有割合」に気をつけておくことも重要です。相続人予定者への贈与・譲渡を検討しましょう。


「医業の継続性」という面では、法人化は意義のあるものです。そのメリットを十分に活用しましょう。


*出資持分の価値は、毎年の利益によって変わります。また、所有する財産に「含み益」や「含み損」という帳簿の上での金額と「時価」との差が生じた場合も価値に影響します。